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ひろちゃん

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帰省中の友達とお子と、少し離れた街にくらす友達とお子と、お昼。
半年ぶりくらいの再会。
私にお手紙を書いてくれたり、お話してくれたりと
子供の成長って早いね。
お昼を食べてから
実家から着信があって
「ひろちゃん(愛犬)、死んじゃったから」と母親が言った。

何だかそれをみんなに伝えて
気を使わせたくなかったし、
自ら発言して事実だということを
認めたくもなかったし、
電話をもらった後も
みんなには伝えずに
そのまま一緒に遊んでもらった。
千波湖で散歩したりお子達といちびりして走ったり。
お子様がいるお母さん達は
こんな真冬でも外に出て大変だねってたくさん笑った。


みんなと別れてから実家に向かった。
姉も来ていた。
愛犬用に使っていた小さな毛布の中、
ひろちゃんはいつものように
寝ている姿勢だった。

私は幼少時から
父親が病気だったせいもあり
『死』がやたら隣り合わせな気がして
静かに眠っている人が、もしかしたら死んでいるんじゃないか?
と、呼吸を確かめるのがちょっとした癖だったりする。
(大人になってから隣で眠る男性に対してもそうだ)
ひろちゃんに対して、これを何万回しただろうか、
身体全体での息づかいを見て安心したり、
鼻の辺りに私の指先を置いて息がかかるのを確認したりと。

ひろちゃんはいつものように
寝ている姿勢だった。
分かってはいるけど
私のこの癖で確認した。
もう、息づかいはなかった。
温かいはずの身体も
冷えて硬くなっていた。
『温かい私が触って、熱がうつって生き返ったりしないかな』
分かってはいるけど
私も一緒に横たわって
ずっと手足を握ったり
身体全体をさすったり
抱きしめたりしたけど
ダメだった。
でも続けた。
嗚咽も続いた。

母親がこたつに入りながら
抱っこしていた時に
何かを吐き出して、そのまま亡くなったそうだ。
「死ぬのは、仕方ないけど、嫌だね」と
母親が言った。
母親は、父親のことも愛犬のことも
たったひとりで看取ったのだ、
その言葉は、重い。


ひろちゃんは火葬されて、お骨になった。
これからは、父親のお墓で眠る。
(ペットも立派な家族なんで、いいですよね?と
母親の強引な要望をOKしてくれるなんて、親切な住職だ)


父親が亡くなって1ヶ月後に
ひろちゃんは我が家の一員になった。
父親のバタバタが落ち着いた頃に
気分転換も兼ねて母親とペットショップに行った。
「今日は見るだけだからね!」
と、私に釘を打ったくせに
生まれて間もないトイプードルが2匹入ったゲージの前で
「この仔に決めた!」と母親が一目惚れ。
その2匹は姉妹で、
片方はなかなか美人でおとなしく、
片方は私達の前でプリっとウンチをかました。
「あれー、ウンチしたね」と笑った。
母は一目惚れした美人のプードルを迎える手続きをして、
数日後に家族になるはずだった。
しかし。
ペットショップから連絡があり、
「美人のプードルの体調が優れないから
お売りすることができません。
もしよかったら、もう1匹の方はどうですか?」と。
そうなのだ、それがひろちゃんなのだ。
ウンチをかまして笑かしてくれたのが、ひろちゃんだ。
ご縁って不思議なものだね。

あれから18年半も経過した。
人間の年齢にすると、90歳だそうだ。
素晴らしいでしょ、うちの愛犬。
大きな病気もせず、
私や家族と楽しく楽しく過ごしてくれた。
とても優しくて。少しとぼけてもいたけどね。


少し時間が経過して
こうした文章が書く事が出来るようになったけど、
毎日涙はこんなにも出るのかってくらい泣き続けた。
絶望だった。
でも、あまり悲しんでばかりだと
ひろちゃんに心配かけてしまう、よくない。
楽しい思い出は18年半分もあって、
今でも私の中にいてくれていることは、かわりないことだ。

雲の上でも
おしゃれにして過ごしなね、ひろちゃん。
こたつで寝てばかりだと喉がかわくから、
水分たくさん摂るんだよ。
あ、やっとうちのお父さんにも逢えるね、
どうしようもなくリズム感のない歌を歌う人だけど、仲良くしてあげてね。

私は人生でとても辛い事やとても悲しい事があった時に
よくよく心の中からひろちゃんに報告してたよね、
あなたにとっては「何のこっちゃ?」だろうけど。
嗚呼、これからは遠く離れた場所でも
心の中から報告するからちゃんと聞いてちょうだい。
とりあえず、今のとても辛い事やとても悲しい事は
まさにこの状況だけどさ。

幸せや楽しさや
癒しや安らぎって言葉なんかじゃ収まらないなー。
愛犬の「愛」ってよく言ったもんだと以前も書いたけど、
本当に「愛」としか言いようがないんだよ、
この気持ちやあなたの存在は。


ひろちゃん、ありがとう。
by lefthandedcoconut | 2014-01-13 23:59 | the sixth
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