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彼女について私が知っている二、三の事柄



「彼女について私が知っている二、三の事柄」
「かのじょについてわたしがしっているにさんのことがら」
「Deux ou trois choses que je sais d'elle」
ジャン=リュック・ゴダール監督。1966年。

パリ。
主婦売春の実話を元に、ドキュメンタリータッチで描く。


ゴダールの作品数は、とにかく多い。
しかも時代によっては
より政治色が強くて難解だったりする。

だけど私にとって映画=理解するものではないので、
(私は映画に世間一般的な言葉で表す「感動」とか「啓発」とかは
一切求めていないので、理解は不要だ)

で、ゴダールの作品は確かに難易度は高いけれど
それだけではない。
台詞は詩や文学的だし
とにかくアーティスティックだし
ファッショナブルだし
アイロニカルだし
映画という表現枠が、独自。
ナレーションが全部ひそひそ話の声。
そうそう、相変わらずかっこいいクラシックカーも出てくるし
(赤のミニ・クーパー、かわいいね。
そういえば昔、緑色に乗っていたのだ、私)
過剰なくらいのクラクションの音量や工事現場の音量。
相変わらず緻密な計算が組み込まれている作品だ。

画面の向こうの役者さんが
こちら側の私達に話しかけてくるシーンがあった。
あ、これはウディ・アレン監督よりも先に
ゴダールが試していたんだね。

近頃はでヨーロッパの古い映画もたくさん
デジタルリマスター・DVDで再登場していますね。
(小林さん、ありがとうございます!)
で、ブックレットに菊地成孔さんがゴダールについて執筆されていて、
久しぶりに脳みそがしびれる文章に触れた。
↓↓↓↓↓

インテリが、インテリであるが故に、
無教養な子猫ちゃんに翻弄されて
捨てられる/捨てる。
馬鹿な女が憎い。
馬鹿な女が喜ぶ資本主義が憎い。
こんなバカバカしいほどの、在り来たりなことを
ゴダールはこれほどかっこ良く、そして痛々しいほど嫌らしく、
素晴らしい映画にしました。


ゴダールは女優アンナ・カリーナと恋愛・結婚の末に捨てられた。
それから何人もの女性と結ばれて離れてを繰り返す。
女を馬鹿にしてるわりには
女がいないと生きられないくせに。
だからかな、
ゴダールの作品に写る女性はみんなクセがあって、とても美しい。
by lefthandedcoconut | 2014-01-10 23:59 | sight
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